2025.09.09 Report

PEACE DAY MESSENGER Voyage log _vol.1

ピースボート Voyage121 に乗船中の PEACE DAY MESSENGER 川口翼さんから、最新のレポートが届きました。

NPO法人PEACE DAYとNGOピースボートが共同で実施するプロジェクト「PEACE DAY MESSENGER」。川口さんは、8月20日よりピースボートクルーズ Voyage121 に乗船し、約4か月にわたって世界各国を巡ります。航海の中で出会う人々との対話や学びを通じて、平和への想いを世界に向けて発信していきます。

 


こんにちは。PEACE DAY MESSENGERの川口翼です。地球一周をしながら平和のメッセージを伝える役割を担っています。

▼自己紹介記事はこちら
https://peaceday.jp/news/post-5032/

この度、8〜12月に渡ってメルマガ記事を担当させていただくことになりました。現在はインド洋を渡ってアフリカ大陸に向け航海中です。この船旅の多くの時間は海になります。本当に地球の7割は海だったことを実感しています。

今回は僕の旅路とそこで感じたことについて書かせていただきます。

 

いざ出航、想いに灯をくべる旅へ

8月20日、ピースボート出航式でスピーチを担当しました。9月21日がピースデイであること、それを伝えることが自身の役割であること、平和には語り合いが必要だと思うこと。大勢の人の前で話しながら、まだそこに言葉に想いが入りきらない自分がいました。この船旅を通して様々な学びや交流をする中で、自分なりの信念に灯をくべていきたい。そう思いながら日本を見送りました。109日の航海の始まりです。


「被爆を気にしない方だったから」

船内には多様な世代、ルーツを持つ方々が乗船されています。また、水先案内人という様々な専門家も一緒に乗船され、芸術や学問などについてお話して下さります。

その中でも被爆証言者の福島さんと特別に少人数でお話する機会を頂きました。福島さんはノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会の方です。実際に生後7ヶ月で長崎にて被爆を体験しています。

福島さんは被爆当時の直接的な記憶が鮮明にある訳ではありません。しかし被爆者として差別を受け、親元を離れて暮らさざるを得なかった過去があります。結婚のきっかけは「被爆を気にしない方だったから」と語る福島さん。その発言の裏にある日常にあった根強い差別に胸が苦しくなりました。

福島さんはその辛い経験を抱えながら「日本の加害にも想いを馳せなければならない」と語ります。直接被爆した記憶のある証言者の方からすると、どうしてもこうした気持ちにはなれないそうです。福島さんは、直接被爆の記憶を持たないからこそ語れることがあると言います。80歳を超えて尚パソコンを駆使して熱心に語る姿に、並々ならぬ想いを痛感しました。2度と悲惨な過去を繰り返さないために何ができるか。まずできることは、個々人が過去を振り返り、痛みに共感し、互いの背景に配慮しながら対話することなのかもしれません。


シンガポールで見た、多民族共生の「光と影」

8月、私たちの船は中国、そしてシンガポールに寄港しました。今回は、多様な文化が共存する国、シンガポールでの短い滞在で考えたことを記します。

リトルインディア、アラブストリート、チャイナタウン。様々なルーツを持つ人々の街が隣り合い、活気に満ち溢れている。そして、どこも驚くほど清潔で、誰もが安心して歩ける。それが、私が最初に感じたシンガポールの「光」でした。

しかし、その美しさの裏にある「何か」を感じた出来事がありました。
港で法外な値段を提示してくるタクシーに乗ってしまい、私がそれを指摘した時のことです。しばらくの言い争いの後、運転手は突然「無料で元の場所に返す」と言い、本当に私たちを港まで送り返しました。
なぜ、彼は不当な利益を諦めたのか。それは、シンガポールでは法や罰則が非常に厳しく、通報されるリスクを恐れたからでしょう。

この出来事は、異なる文化や背景を持つ人々が共存するために、シンガポールが選んだ一つの「答え」、つまり「明確なルールと、それを徹底させる厳しい罰則」という社会のあり方を象徴しているように感じました。

もちろん、それが唯一の正解ではないかもしれません。しかし、「皆が安全に、平和に共存する」という理想のために、社会はどんな仕組みを必要とするのか。

ルールで規律を保つシンガポールと、暗黙の調和を重んじる日本。その違いを肌で感じ、深く考えさせられたシンガポールでの一日でした。


PEACE DAYに向けて

9月21日、PEACE DAY。私は船内で迎えます。日本で開催されるイベントにてオンラインで出演し、また船内でも映画上映や交流会などイベントを開催する予定です。次回のメルマガではその様子もレポートできればと思います。

この争いの絶えない世界でこうして船旅ができていることに感謝し、皆様の平和な毎日を願いながら本稿を終わります。

 



旅の様子は、Instagramでも随時発信中です。
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