ピースボート Voyage121 に乗船中の PEACE DAY MESSENGER 川口翼さんから、最新のレポートが届きました。
NPO法人PEACE DAYとNGOピースボートが共同で実施するプロジェクト「PEACE DAY MESSENGER」。川口さんは、8月20日よりピースボートクルーズ Voyage121 に乗船し、約4か月にわたって世界各国を巡っています。航海の中で出会う人々との対話や学びを通じて、平和への想いを世界に向けて発信していきます。
こんにちは。PEACE DAY MESSENGERの川口翼です。
地球一周の船旅をしながら平和のメッセージを伝えています。現在は北大西洋を航海中。イギリスからアイスランドへと向かい、オーロラが見られることを心待ちにしています。
8〜12月に渡ってメルマガ記事を担当しており。今回は9月分です。
▼8月分はこちら
https://peaceday.jp/news/pdm1/
今回は旅先で感じた平和への想いや、9月21日のピースデイに行った船内企画について述べさせていただきます。
9月16日、僕は南アフリカの首都ケープタウンで子どもたちとの折り紙交流ツアーに参加しました。現地の小学校に向かう道中、錆び付いたトタン屋根が並ぶ風景を目にしました。アパルトヘイト政策下で有色人種が住む場所とされ、政策が終わった今も貧困が続く地域です。知識としての貧困問題と、現実で目の当たりにする光景のインパクトはまるで違いました。

現地の小学校では、ツアー参加者1人につき1人の小学生が交流相手となりました。僕の相手はローランド君。折り紙を教えようとしたのですが、彼は折り紙の達人で、正確な折り目で普通の鶴とパタパタ鶴を折り分けました。むしろ折り紙を教えられる中で、外国の人は折り紙が苦手という僕の偏見は覆されました。

お互い拙い英語で中々意思疎通は難しかったのですが、黙々と折り紙を折り合うだけでどこか心が通い合った気がしました。平和にはお互いが心を通わせる交流が不可欠です。折り紙などの文化は、言語や国籍を超えて繋がれる素敵なツールなのだと再確認しました。
また、日本の文化である折り紙に通じていることが嬉しかったのです。相手のことを良く知ろうとすることは、互いの距離をぐっと近づけるのだと思います。南アフリカの「ありがとう」は「ダンキ」と言うらしいのですが、現地で使ってみると多くの方が顔をくしゃっとしてくれました。南アフリカでは英語が比較的よく通じます。それでも、現地のローカルな言語を知って使おうとすること。そうした相手の国を知ろうとする態度が心を開くのかもしれません。
そして、一見当たり前ですが、国籍や肌の色が違っても愛すべき人間だということを実感しました。ローランド君は現在12歳。将来の夢はサッカー選手。彼が夢を追いかけながら彼なりに幸せな人生を掴み取ることができますように。
9月21日はピースデイでした。僕は船内から生中継で出演させていただくとともに、船内では3部制のイベントを企画しました。
第1部は「トーク&ライブ」。ピースデイとは何かや旅先で感じた平和への想いを4言語通訳付きで語った後、船内で結成したバンドによる音楽ライブを行いました。先述の交流エピソードを軸に話し、実際に音楽という「文化」で会場全体が繋がる感覚を共有できました。

第2部は「シネマ」。「ピースデイ」を広めようと奮闘する若者の物語である『The Day After Peace』を上映しました。上映後は拍手が起き、「若者の熱量が実際に世界を動かし、平和を少しでも実現した物語に胸を打たれた」との感想を頂きました。
第3部は「平和交流会」。今までの船旅や本日のイベントの感想を踏まえ、「あなたにとって平和とは?」「そのために何ができるか?」について世代を超えて話し合いました。ただ情報を受け取るだけでなく、自分の言葉で対話する機会を設けることができました。
船内の多様な世代、国籍の方にピースデイを知ってもらい、平和について考えるきっかけを届けることができました!
平和とは何か。今回PEACE DAY MESSENGERという役割を担うにあたって、小難しく色々考えてきたテーマです。しかし、折り紙交流やピースデイ企画を通して、シンプルな出発点に立ち戻ることができました。それは、国籍や肌の色が違ったとしても、その人の幸せを願うこと。平和のはじまりは、目の前の人なのだと思います。この船旅で「顔の見える国際交流」を数多く経験する中で、引き続き想いに灯をくべていきたいです。