2023.07.31 Monthly21

PEACE DAY monthly 21 #21 開催レポート

毎月21日に開催している「PEACE DAY monthly 21」。
21回目のテーマは、「思考の枠を壊すアートの力とは」をテーマにトークセッションを開催しました。
 
今回は、視覚や聴覚など障害のあるメンバーとプロの表現者が共創するインクルーシブ合唱団「ホワイトハンドコーラスNIPPON」の芸術監督であるコロンえりかさん、「写真家」という視点から活動を見守り、新たな芸術創造に挑んできた田頭真理子さんをゲストにお招きし、お話を伺いました。PEACE DAY monthly21初となる「手話通訳」の方にもご参加いただき、障害の壁を超えての開催となった今回は、多くの方にご参加いただきました。
 
■田頭真理子さん
写真家の田頭真理子さんは、コロンえりかさんがホワイトハンドコーラスを日本で始めた時から、記録を撮り続けてきました。最初は小さな可愛らしい子供を見守っているという感覚でしたが、子どもたちが大き な舞台に立つようになり、表現力がどんどん成長していく姿を見て、田頭さん自身の子どもに対する関わり方にも変化がありました。「ただの記録写真を撮っているだけでは、子どもたちの魅力は伝えることができないのではないか。」と考え続けていたとき、サイン隊の表現する手の先から光が放たれたのが見え、 「これだ!!」と閃いたそうです。この閃きをきっかけに、サイン隊の手袋に LED ライトで表現されている 写真が生まれました。
 

 
■コロンえりかさん
えりかさんには、ホワイトハンドコーラスが生まれた背景や、これまでの歩みについてお話いただきました。ホワイトハンドコーラス NIPPON のオリジナルソングの歌詞の中に、「壁なんて最初からないんだ」と いう歌詞があるそうです。耳が聞こえない人や、目が見えない人はコミュニケーションが難しいだろうと大人はどうしても考えてしまいがちですが、子どもたちはどんどんその壁を乗り込えていきます。えりかさんは、そんな子どもたちから刺激を受け続けていると仰っていました。
ホワイトハンドコーラスNIPPONでは、「イマジネーション:歌詞をイメージし、誰かの痛みを一緒に感じ、理解できる力」「クリエーション:写真とはこういうものだ。音楽とはこういうものだ。という枠を壊していく力」 「イノベーション:みんなの考え方が変わっていく、感動で人を興す力」の三本柱を実現していくためにどう したら良いのかを皆で考えます。えりかさんは、ホワイトハンドコーラスに初めて参加する子どもたちにも、ただ教えてもらうだけではなく、みんながイノベーションを起こす「主体」であるということを伝えるそうです。障害を抱えている子どもやその親御さんは、日常生活の中で多くの壁に向き合っています。ホワイトハンドコーラスに初めて参加するときも「できないのではないか」と自信がなさそうに入団する方も少なくないそうです。でも、先述した三本柱を繰り返していくことによって、「できない」が「できる」に変わり、かけがえのない自信に繋がっていきます。
 

 
■「思考を壊すアートの力」とは
田頭さんがホワイトハンドコーラスの写真展1回目を開催した時に、視覚障害を持つ方が来場し、会場で流れる第九の音楽を聞いて「素晴らしい写真展ですね」と声をかけてくれたそうです。その言葉を聞いて、この子に写真をもっと感じさせることはできないかと田頭さんは考えたそうです。そこで2回目の写真展では、「体験型写真展」を作りました。UVインクでプリントされた立体的な写真で、目の見えない人も写真で音楽を感じることができる仕組みや、ホワイトハンドコーラスメンバーのガイド付きツアーなどインタラクティブに写真が楽しめるように工夫をしました。写真を鑑賞するだけでなく、写真展の中で第九を理解してもらえたり、来場者の人も一緒に参加できるような写真展を心がけたそうです。写真や音楽などの枠にとらわれず、一つの第九のメッセージを伝えることができた時、思考の枠を超えたアートが生まれたと感じたそうです。
 
■最後に・・・
PEACE DAY monthly 21 #21にご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!この広い世界中の中に、誰一人同じ人はいません。障害があってもなくても、同じ人間であり、違う「個」を持っているのです。当たり前のことだけれど、ついつい忘れてしまいそうになることを、改めて感じることができた時間となりました。
 
次回の「PEACE DAY monthly21」は、8月21日(月)に開催予定です。
「終戦記念日月間~The End of Warを考える」
 
8月15日は終戦記念日。だから今こそ、知ろう、考えよう!
私たちの歴史は、紛争、戦争、侵攻、略奪、命の奪い合い‥‥争いが絶えたことがありません。
平和の実現には、どんな命も慈しみ、誰ひとり取り残さず、決して争わないことが不可欠なのでは?
世界唯一の被爆国に生まれた1人として、核兵器廃絶に向けて力を注ぐゲストを迎えてトークを展開します。
 
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