2024.01.04 Monthly21

PEACE DAY monthly 21 #25 開催レポート

毎月21日に開催している「PEACE DAY monthly 21」。
25回目のテーマは、「コロナの次のパンデミックにどう備えるか:公正な世界に向けて」。

今回は、2019年末から世界に広がった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の事例を元に、次のパンデミックが起きた時、公正な社会を実現するためにはどうするべきかをみなさんと一緒に考える時間となりました。ドキュメンタリー映画「新型コロナが映す いのちの格差」の特別上映も実施し、この課題について映像を通してより理解を深めていきました。

*ドキュメンタリー映画「新型コロナが映す いのちの格差」作品紹介

2019年末から世界に広がった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。感染は先進国・途上国を問わず広がったが、その対応・対策としての検査・ワクチン・医薬品・医療アクセスは決して「平等」に行き渡らなかった。
そもそも途上国はHIV/エイズやマラリアなどの感染症に直面し、また基本的医療サービスや衛生的な水へのアクセス、食料の確保も不十分だ。例えばブラジルでは貧困層が住むファベーラ(スラム)で密集して暮らさざるを得ない人びとの間で感染が爆発した。
すでに存在する貧困や格差の上に起こったコロナ禍は、世界の経済システム、とりわけワクチンや医薬品にかかる知的財産権の問題を明らかにした。
これに対し、インド、南アフリカはじめ100カ国以上の政府が、コロナに関するワクチンや医療製品にかかる知的財産権を一時免除し、多くの国に供給できるよう世界貿易機関(WTO)に求めた。医療関係者やNGO、市民団体などがこれに呼応し、国際的な運動が一気に広がった。しかし、グローバル製薬企業の利益の側に立つ先進国は強く反対。激しい攻防が繰り広げられた。
なぜ「いのちの格差」が生じてしまうのか? その背景にある知的財産権の課題は、いのちよりも利潤追求が優先される経済システムの問題を映し出している。

すべての人が安全になるまで、誰も安全ではない――公正な医療アクセスは、未だ実現していない。

*ディスカッション
ドキュメンタリー映画「新型コロナが映す いのちの格差」を踏まえて、登壇者の土井 香苗さん(国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)、稲場雅紀さん(日本とアフリカの市民社会の架け橋として活動するアフリカ日本協議会(AJF)の共同代表兼国際保健プログラムディレクター)、河野 竜二さん(アースデイ東京事務局長)とディスカッションを実施しました。

稲葉さんは、エイズの感染が広がった際の医薬品の値段が高く、途上国では薬がアクセスできなかった頃からこの課題と向き合い続けています。エイズに関してはアフリカを中心に感染が大爆発したことで、このままではアフリカ自体が崩壊するという危機感から、あらゆる部分で国際的努力が行われました。いろいろな形で知的財産権の課題を乗り越え、薬へのアクセスに結びつけるということが数十年の間に可能になり、現在では問題の解決へと進んでいます。なので、コロナの感染が拡大した際、同じようなことが起こるとは想定していなかったと稲葉さんは仰っていました。
今回のコロナの課題を顧みて、今後のパンデミックにどう備えるか、検査・ワクチン・医薬品についてのアクセスをどうするのかということも含めて、「パンデミック条約」策定に向けての話し合いがWHOを中心に行われています。その中で、「医薬品が開発された際に技術移転を途上国に対し迅速に行うこと」「普段から途上国における医薬品の製造能力を高めなくてはいけない」という課題を先進国も共通認識として持っているということは希望だといいます。しかし、知的財産権をどの程度オープンにするのか、制度を作ることでワクチンや医薬品開発のスピードが遅れるのではないか、など課題は多く、医薬品の公平な分配はまだまだ難しいのが現状だといいます。
今後10年の間でコロナ級のパンデミックが起こる可能性は27%もあると言われています。公平な分配を実現し、なるべく早くパンデミックを制圧することができるようにするためには、私たちの頑張りや、政策提言にかかっているのではないのでしょうか。

*最後に・・・
PEACE DAY monthly 21 #25にご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
コロナのパンデミックの最中、命を守るということが最も大切ということは誰しもがわかっていたはずなのに、利益の方が大切にされていた事実に驚きを受けた反面、これを踏まえて次のパンデミックに備えて私たちにもできることはあると知ることができました。コロナを体験した私たちだからこそできることは必ずあります。様々なところにアンテナを立て、「公正な世界」、そして「公正な命」を一緒に実現していきましょう。

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