2024.07.01 Monthly21

PEACE DAY monthly 21 #31 開催レポート

毎月21日に開催している「PEACE DAY monthly 21」
31回目のテーマは、「Daily choices lead to peace」

今回は、「サステナブル」や「エシカル」をテーマにしたPOP UPショップ「Love action」を主催する伊藤 沙也加さんとエバンズ 亜莉沙さんをお招きしました。さらに、元VOGUE INDIA 編集長であるバンダナ・テワリさんをスペシャルゲストにお招きし、私たちの未来や平和に繋がるアクションについてお話を伺いました。

■地球の悲鳴が聞こえた北中米の旅がきっかけに

1人目のゲストは「Love action」を主催する伊藤 沙也加さん。

伊藤 沙也加(Sayaka dept. cheering  jewelry/Love action 主催)
世界30か国を旅しているアクセサリーデザイナー。シャンデリアやビンテージパーツを再利用して、ハンドメイドアクセサリーを制作。また、Love action というエシカルなブランドを集めた催事の主催をしていたり、私立中学校でエシカル × メディアデザインの授業を担当し、幅広く活躍中。

<伊藤>
2017年にアメリカ西海岸を自転車で旅し、さらには北中米の旅を経験しました。山火事を目の当たりにしたり、ヴィーガンを選択する人の多さを自分の目で見たことで、日本とアメリカのギャップにとても違和感を覚えました。「地球が本当に危ない!」とこの経験で初めて感じました。


現在は、シャンデリアやビンテージパーツを再利用したり、ロスフラワーを押し花に変えアクセサリーのパーツに使用するなど、本来廃棄される予定だったモノをアップサイクルし、新たに息を吹き込ませています。また、「Love action」というエシカルなブランドを集めたイベントの主催をしています。それから、今年になって「Tokyo Innovation Base」のマネージャーや私立中学校でのエシカル×メディアデザインの授業を担当するなど、幅広く活動しています。

■父の故郷で怖さを知った高校時代

2人目のゲストは伊藤さんと共に『Love action』を主催しているエバンズ 亜莉沙さん。

エバンズ 亜莉沙(エシカルコーディネーター/Love action 主催)
第二の故郷であるオレゴン州での暮らしや地球一周の旅を経て、環境と社会の課題に強い関心を持つ。日本に帰国後の2015年程から、人・地球に優しい暮らしの実践と提案をライフワークとする。イベント企画やプロデュース、MCやモデルなど幅広く活動。2022年からNHK WORLD 「Ethical Every Day」 番組MCを務める。Prettysimple Studio Co. ディレクター, Love action 主催,ELLEスタイルインサイダー, フェアトレードラベルジャパン キャンペーンアンバサダー, Coachtopia コミュニティメンバー 他

<エバンズ>
学生時代、地球や森の生態系について「自然と人間の暮らしはどう影響し合っているのか?」といった環境科学の授業にとても興味を持ちました。自分が着ている洋服や口にしているものが どう地球に影響しているのかを知る度に自身の考えとのギャップにショックを受けました。知らないうちに自然破壊や差別に加担してしまっていたらと思うと、とても恐ろしいことだと思いました。


地球一周の旅では、「豊かさとは?貧富の差とは?」と様々な国に訪れながら自問自答する毎日でした。もっと地球や人に優しいエシカルという概念を誰かに伝えたいという思いから、まずはフェアトレードについて自主企画を行い、微力ながらに発信を続けていました。

■「Love action」について

私と地球を愛するマーケットをキャッチコピーに不定期開催しているPOP-UP SHOP『Love action』

<伊藤>
私たちが始めた当時はまだ、エシカルやサステナブルに関連するイベントが少なく、駅ビルの会社に足を運び、「エシカルブランドを集めてポップアップをしたい!」という想いを伝え続けました。エシカルやサステナブルを意識した商品に興味のある方は、自身で検索し探すことが出来るけど、認知していない一般の方々にも届けたいと思い、この活動を3~4年前から進めています。

<エバンズ>
今後は、「action」の部分にフォーカスした活動の幅を広げていく予定です。ジョギングしながらクリーンアップをしたり、アートや音楽を交えた体験にするなど、地球や人のために、直接アクションを起こしていきたいです。これまでに行ってきた「action」として代表的なのは、塗り絵のワークショップです。塗り絵に使用するクレヨンは、使い切れなかったコスメや自分の肌に合わなかったコスメなどをアップサイクルして作られたクレヨン「Helloyon(ハロヨン)」を使用しています。また、イベントに集まった方々にも不要になったコスメを持参いただくよう呼びかけも行っています。こういったイベントから、モノを購入すること、使ってみることで、いろいろな人や資源への影響を考えるきっかけを作り続けたいと思っています。

■バンダナ・テワリさんの想い

スペシャルゲストとしてバンダナ・テワリさんにもご出演いただきました。「Love action」ではお馴染みのバリ島の廃タイヤを再利用したフットウェアブランド「indosole」バンダナさんは、新プロジェクト「ZINDAGI PROJECT」の発起人としてローンチイベントのために来日されていました。

Bandana Tewari/バンダナ・テワリ(元VOGUE INDIA 編集長+ライフスタイルジャーナリスト+サステナビリティ活動家)
TEDxのスピーカーであり、作家でもある彼女は、思いやりのある消費やサステナビリティについて、そして責任あるファッションのあり方とその必要性に焦点を当て、ベルリン、シドニー、コルカタ、ラゴス、ジャカルタなど、世界中で基調講演を行っています。
VOGUE INDIAの編集長として13年間勤務。常にファッション業界の先端にいました。急速に進化する業界を間近で見ながら、長期的な視点を持った彼女特有の感性は、業界の中でもファッションライフスタイルとサステナビリティにおいて世界的に認識されていきました。
現在はバリに拠点を持ちながら、いくつかの国際的な雑誌に寄稿。The Business of Fashionでは、インドとインドネシアの”手作りの経済”から、ファッションにおけるトランスジェンダーやLGBTQに至るまで、さまざまなトピックについて幅広く執筆。また、Paro Good Earthでは、ヴェーダンタ(Vedanta)など古代インドの知恵に焦点を当てた執筆を行っています。
これまで、The New York Times、Vogue Arabia、Vogue India、Harper’s Bazaar India、Elle India、Vogue Portugal、Vogue US、Vogue UK、Wallpaper、Platform、Tank、Hindustan Times、The Hinduなどの著名な出版物にも多く掲載実績あり。
インドのテレビで初のファッションシリーズ「Simply Style」の50エピソードを脚本・ホスト。また、ファッションにおける動物虐待に焦点を当てたドキュメンタリー「Slay」にも参加しました。
コペンハーゲンファッションサミットの特別顧問であり、NEST(NYC)、Redress(香港)、Global Fashion Agenda(ストックホルム)、Fashinnovation(ニューヨーク)、ブリティッシュファッションカウンシルコミュニティなど、いくつかの諮問委員会にも所属。


<バンダナ>
常に最先端にいましたが、この業界の人たちが目に見えない人を気にしなさ過ぎていることに正直疲れてしまっていました。地域にある文化や技術を守る職人にもっと寄り添い、その美しさにフォーカスし続けたいという想いが常にあります。その想いを形にしたものが「ZINDAGI PROJECT」です。プロジェクト名の「ZINDAGI」は直訳すると、「命」という言葉ですが、それ以外に「人生」「尊厳」「思いやり」などたくさんの意味が込められた言葉です。その意味をかけ合わせたファッションを証明していきたいと思っています。何千年も続く地域の文化を忘れてはならないし、人々の命を尊ぶ意味でもこのプロジェクトを大切にしていきたいです。

■ダイアログタイム

ご参加いただいている皆さんから質問をいただき、ゲストの方々にご回答いただく時間を設けました。

――参加者:インドやバリ、ヨーロッパでのエシカルファッションに対する意識は?

<バンダナ>
先進国の方がサスティナブルファッションへの意識は向いています。インドは人口が多く、貧しい人も多くいる中で、ファッションについて考えられるのは、裕福な人の特権であると思っています。コットンの素材を育てるには多くの水が必要です。しかし、インドでは生きるために必要な飲み水がたくさん必要であるため、その貴重な水をコットン栽培にはまわすことが出来ないのです。

また、ベトナムやバングラデシュでは、安く大量に洋服を作らされています。しかし、ファストファッションは環境に良くないからといって、いっきになくしてしまうと、その人たちの仕事を奪うことになります。ですので、先進国は働く人の健康や人権への配慮をし、オーダーしていく未来が必要です。
北欧は人口が少なく、生活の最低限のニーズが満たされている国だと思います。そういった場所はやはり、人権や健康、ファッションについて、余裕を持って考えることができる国と思います。

――参加者:エシカル商品は高価なイメージがあるが、「これは本当にいいものだ」と消費者に伝える方法は?

<伊藤>すごい難しいことだと私自身も感じています。ただ、最近流行りのショート動画での伝え方について、私は少し違和感を覚えています。これからは、本物を見極める力やフェイクニュースに騙されない力などを教育する必要性があるかもしれません。

<バンダナ>その商品価値にちゃんとフォーカスすると当然値段が上がってしまいます。消費者にとってその商品はどんな価値があるのか?などマーケティングをしていかなければなりません。ただ、本質的なモノづくりについての話をすると、人は感情が動かされ、それが消費意欲に繋がります。

■最後に…

現在は「エシカル」や「サステナブル」という言葉が注目され始めました。ただ、「エシカル」や「サステナブル」=環境問題とフォーカスされがちですが、実はそうではなく、様々な側面から地球や人間にとっていいということを一消費者として、もっと考えたいと思います。

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