2025.09.19 Report

【レポート】「あなたの平和とは?」堀潤さんが問う、PEACE DAYの本質

来る「PEACE DAY 2025 @大阪・関西万博」に向け、ジャーナリストの堀潤さんが自身のYouTubeチャンネル「8bitNews」で特別番組を配信しました。
番組では、イベントの紹介と共に、堀潤さんがジャーナリストとして向き合い続けてきた「平和」の核心に迫る問いが、視聴者に投げかけられました。

 


「その平和って、誰の平和の話をしていますか?」

番組の冒頭で、堀潤さんはガザでの取材経験を語りました。現地で人道支援を続ける日本のNGOに密着する中で、堀潤さんが「早く平和になるといいですよね」と口にした際、現地のスタッフから逆にこう問われたといいます。「その平和って、誰の平和の話をしていますか?」。

ハッとした堀潤さんは、平和は一つではないことに気づかされました。「壁の向こうにいるイスラエルの人たちも平和を望んでいる。だから戦争が続いているんだ」。この経験から、堀潤さんは会う人ごとに「あなたにとっての平和とは何ですか?」と尋ねるようになったそうです。子どもたちからは、「静かに本を読むこと」「自由に遊び回れること」など、50人いれば40通りの多様な平和の形が返ってきます。

しかし、それぞれの平和が時にぶつかり合うこともあります。「静かに本を読みたい子」と「自由に遊びたい子」が一緒に暮らせば、お互いが「平和でいよう」と願っていても、衝突が起こりうると話します。だからこそ、「誰にとっての平和の話をするのか」という視点が極めて重要だと堀潤さんは訴えます。

 

「大きな主語」から「小さな主語」へ

この気づきから、堀潤さんは「大きな主語よりも小さな主語を使いませんか」と呼びかけています。「子どもたちは」「パレスチナの若者は」といった大きな主語では、個々の複雑な思いや背景が見えなくなってしまいます。そうではなく、「ムハンマド君は」というレベルまで主語を小さく分解し、一人ひとりの平和感を共有することから始める。それが、相互理解が難しい時代だからこそ必要な、丁寧なコミュニケーションの第一歩だと語りました。

この「小さな主語」で物事を見る視点は、PEACE DAYの様々なプログラムにも通底しているといいます。例えば、国際平和映像祭で上映されるドキュメンタリー映画は、必然的に「Aさん」という主人公(=小さな主語)の視点で物語が描かれます。私たちは映画を通じて、一人の人間の喜びや葛藤に出会い、複雑な社会課題を自分事として捉えることができるのです。

 

仲間たちと共に創る「PEACE DAY」

この日の配信は、堀潤さんが一人で語るだけでなく、PEACE DAYを共に創る仲間たちがZoomでサプライズ参加する温かい場面も見られました。NPO法人PEACE DAY代表理事の井上高志が画面に登場すると、和やかな対話がスタート。さらに、PEACE DAY2025にも出演する垂水バイオリニスツなどの仲間たちが集い、それぞれの立場で平和への思いを語り合う、まさにPEACE DAYが目指す「対話の場」がそこにはありました。

 

小さな一歩こそだけれど

今回の配信は、今日の出来事が世界から争いをなくすための大きな一歩にはならないかもしれないが、それでも私たちにできることがあると教えてくれます。

それは、一人ひとりが平和のためにできる小さなアクション。誰かの話に少しだけ深く耳を傾けてみること。自分にとっての平和とは何かを少しだけ考えてみること。

そうした、ほんの小さな対話や行動の積み重ねこそが、世界を少しだけ平和な場所へと変えていく、最も確実な一歩になるのではないでしょうか。大きな理想を語る前に、まずは目の前の誰かと対話してみる。その小さな一歩から、平和は始まっていくのかもしれません。

堀潤さんの番組もYouTubeで見ることができます。「PEACE DAY 2025 @大阪・関西万博」は配信もあるので、ぜひ見てください。