2021.06.02 Information

性の多様性について考えよう。6月は、「プライド月間」

6月は、LGBTQ+の権利について啓発を促す「プライド月間(Pride Month)」です。LGBTQ+の市民権運動の転換点となった、米国ストーンウォールでの暴動が起こったのが1969年6月末だったことから、毎年6月の最終日曜日にニューヨークやサンフランシスコでパレード(プライドパレード)が開催されるようになりました。この週末を「プライドウィーク」、6月を「プライドマンス」と呼ぶようになり、アメリカをはじめ世界各地でLGBTQ+の権利について啓発を促すさまざまなイベントが開催されています。
日本では、1994年8月に初のプライドパレードが開催され、2012年より「東京レインボープライド」が毎年ゴールデンウィークに代々木公園にて開催され、LGBTQ+ムーブメントを象徴するイベントとなっています。(2020年、2021年はオンライン開催。)

性の多様性の象徴であり、セクシュアルマイノリティのシンボルとして世界中で使用されているレインボーフラッグは、米国の美術家・公民権運動家でLGBTQ+当事者であるギルバート・ベイカーによるデザイン。2015年6月、全米で同性婚を合法化するという判決が下された日に、MoMAの永久収蔵品に加えられました。
プライド月間には、ニューヨークのエンパイアステートビルをはじめ世界中の建築物がレインボーカラーやピンクにライトアップされ、世界各国の企業がキャンペーンやレインボーカラーの商品を展開し、多様性を尊重する姿勢を打ち出しています。

多様なバックグラウンドの従業員を擁する「楽天」は、特設サイト「Walk Together with Pride」でぬりえ用のイラストデータ等を無償で提供。色付けしたぬりえをSNS上でシェアすると「オンラインプライドパレード」にも参加することができます。このキャンペーンは、例年オフラインで開催されていた「プライドパレード」をオンライン上で開催する試みで、ニューノーマル時代に沿った新たな形でLGBTQ+に関する啓発活動を推進することを目的としています。
デンマークの玩具メーカー「レゴ」は、性の多様性を象徴する虹色に加え、人種の多様性を尊重するとして黒と茶色、そして心と体の性が一致しないトランスジェンダーに敬意を表すピンクや白などが使われた11体のフィギュアのセット『Everyone is Awesome』を今月から販売。
アメリカの時計メーカー「フォッシル」は、『プライド コレクション』を発表。LGBTQ+の若者の自殺対策と危機介入に取り組む世界最大のアメリカの団体、『トレバープロジェクト(THE TREVOR PROJECT) 』の支援につながります。

世界中で様々な啓発活動が広がっていますが、日本のLGBTQ+に関する法整備状況はOECD加盟国35カ国中ワースト2位。G7のうち、LGBTQ+に関する差別を禁止する法律が整備されていない唯一の国です。
このような状況を打破すべく、「LGBT法連合会」、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」、「アスリート・アライ」により立ち上げられた国際署名キャンペーン『#EqualityActJapan 日本にもLGBT平等法を』には、国内外から10万筆超の署名が寄せられました。この3月に与党の各政党に署名を提出し、日本でのLGBTQ+の方々への差別などの人権侵害を防止するLGBT平等法の導入を要請。7月23日に開催予定の東京オリピック前の法案成立を目指しています。
2021年6月中旬に閉会予定の通常国会での法案可決・成立を求める国内外での動きには、性的指向や性自認に基づく差別を禁止し、誰もが平等に扱われるインクルーシブな職場・社会づくりに貢献する法改正を求める「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」に賛同を表明した、インテル、コカ・コーラ、セールスフォース、セガサミーなどの大手グローバル企業も加わるそうで、法案成立の大きな後ろ盾となりそうです。

近年は、LGBTQ+に代わり、SOGI「Sexual Orientation and Gender Identity (性指向と性のアイデンティティ)」という言葉で性の多様性が表現されることもあります。
プライド月間に展開されるさまざまなキャンペーンをとおして、多様性にあふれる豊かな性のアイデンティティについて考えてみてはいかがでしょうか。