2021.11.11 Information

映像を通じて世界を知り、人々がつながる。そんな場を目指しています。:国際平和映像祭からのメッセージ

一般財団法人PEACE DAYでは、毎年特別会員の皆様よりいただいたご寄付の一部を、平和に資する団体様にご寄付させていただいています。
今年の寄付先5団体様からご提供いただいたメッセージを、5回に分けてご紹介いたします。
第4回目は、「国際平和映像祭」からのメッセージです。

映像を通じて世界を知り、人々がつながる。そんな場を目指しています。

 

国際平和映像祭(UNITED FOR PEACE FILM FESTIVAL, 以下UFPFF)は、2011年から毎年、国連が定めた国際平和デー(9月21日:通称ピースデー)に合わせて開催している、「平和」をテーマとしたショートフィルムの祭典です。1年に1日だけでも世界中のみんなが武器を置き平和を祈念しようと国連が定めたピースデーをもっと広めていきたい、平和を広げたい、そのために何ができるだろう、そんな想いでこのUFPFFは始まりました。

 


(写真:2019年度、授賞式の様子)

 

では、なぜ「映像」という手段を選んだのか。
UFPFFの発起人・代表理事であり、映画配給事業を行うユナイテッドピープル株式会社の代表取締役である関根健次は、このように話しています。

―――「本や写真も人々の心に大きな衝撃や感動を与えますが、動画ではストーリーに音楽が乗ってくるので、人々の感情を揺さぶる要素が非常に強い。人は感動すると行動します。動画は、行動するきっかけとして非常に力があると思います。ユナイテッドピープルで最初に公開した映画は、バングラデシュのストリートチルドレンがテーマの作品でした。これを見た学生たちが『自分にできることはないか』と考え、受け入れ側のNGOがパンクするほど大勢が現地へ飛んでいきました。そして、帰国後に報告会を開きました。そうすると、1人の体験が30人、50人、100人に追体験され、最終的には数千人、数万人に広がっていく。そうした光景をこの10年でたくさん見てきました。ですから、僕は動画の力を実感しています。」(朝日新聞DIALOG,2019, https://www.asahi.com/dialog/articles/12550987

 

 

映像はいつも時空を超えて、私たちに新しい世界を見せてくれます。例えば自分で紛争地域に行ったり、100年前の「今」を知ることはなかなか難しいですが、映像があれば、その景色を見ることができます。その映像の中に誰かのストーリーが映っていれば、私たちはその誰かの暮らしや人生に想いをめぐらせることができます。その誰かと一緒に悲しくなったりうれしくなったり、心が動いていく。私たちUFPFFは、こうして「映像」という手段を通じてまだ見ぬ世界や人々と出会うことで少しずつ共感と想像力の輪が世界に広がっていくこと、これが平和への第一歩だと考えています。

 

クリエイターたちが映した世界中の「リアル」

 

11周年を迎えた2021年度のUFPFFは、45か国からの応募があり、例年に増して国際色豊かな会となりました。BLMデモへの参加に葛藤する若者の話(アメリカ)、戦争の記憶をおった高校生の作品(日本)、プラスチックゴミと人類の未来の話(フランス)など、世界中の様々な視点から「平和」を描いた作品が寄せられました。

 

今年、事務局として監督たちとやりとりをする中で、印象的だったことがあります。それは、イランから作品エントリーをしてくれた監督からの一通のメール。作品上映時に添える1分間のビデオメッセージの提出をお願いしたところ、それは難しいと、お断りの言葉が届いたのです。

 

その監督が応募したのは、一匹の猫が兵士に撃たれて死んでしまうアニメーション作品でした。

 


(写真:作品のスチル画像)

 

お断りの理由は、現在数千人の若者たちが刑務所に入っていて、何人も処刑されてしまっている状況にあり、顔出しで自分のビデオを送ることは、こういう事情から賢明ではないということ。このメッセージを受け取った時、そのような状況下においてイランの「リアル」を世界に伝えようと映像作品にした監督の勇気に感銘を受けたと同時に、なんとも言えない気持ちになったことを覚えています。

 

9/21の国際ピースデーに、イランのあの街は、1日でも一瞬でも争いが止まるのだろうか。この状況に対して、UFPFFとして今私たちにできることはあるのだろうか。

 

UFPFFは見る人がそれぞれの作品から新しい視点を得、平和について考える一歩を踏み出す場であると同時に、こういった世界中の若きクリエイターたちの勇気ある挑戦に光を当て、背中を押し続ける組織でありたいと、背筋の伸びる思いでした。

 

今年度の受賞作品はこちらに掲載しているので、ぜひ一人でも多くの方に、ご覧いただけたらと思います。

 

▼UFPFF2021開催報告
https://www.ufpff.com/archives/17748