2000年12月4日、国連総会で、毎年6月20日を 「世界難民の日」とすることが決議されました。この日は、従来はOAU(アフリカ統一機構)難民条約の発効を記念する「アフリカ難民の日」でしたが、難民の保護と支援に対する世界的な関心を高め、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)を含む国連機関やNGOによる活動に理解と支援を深める日にするため、「世界難民の日」として制定されました。
6月19日・20日、東京都・高円寺の銭湯「小杉湯」のお風呂のお湯が、国連UNHCR協会とのコラボにより、「UNHCRブルーの湯」として、青色に染まっていました。
このほかにも、日本では連帯の証しとして、6月20日に、全国各地のランドマークを国連カラーの青色に点灯する動きが広まっています。また、身の回りの“ブルー“を撮影して、メッセージを添えてSNSに投稿するキャンペーンも行われています。
◆今年のブルーライトアップ&SNSキャンペーン詳細https://www.unhcr.org/jp/wrd2021-blue-light-up
難民とは、「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるか或いは迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れた」人々のこと。UNHCRによると、2019年時点の世界の難民は7950万人。2019年の間に新たに1,100万人が難民となったそうです。世界人口の1%、97人に1人が難民であることになります。
難民の出身国は、主にシリア、ベネズエラ、アフガニスタン、南スーダン、ミャンマーの5か国に集中しており、最大の難民の受け入れ国は5年連続でトルコとなっています。しかし、安全な地域に逃れたからといって快適な生活が送れるわけではなく、経済的に苦しい生活を強いられ、学校に行けずに働かされている子ども、生活の保証を得るために結婚をしなければならない未成年の少女も少なくないといいます。また、衛生環境が不十分な難民キャンプでは、感染症が蔓延することもあり、不衛生な環境で汚染水を飲み、命を落とす子どももいるのです。
このような難民問題に取り組んでいるのが、国連難民高等弁務官事務所。1950年に設立された国連機関のひとつですが、日本ではなんといっても、日本人として、また、女性として初の国連難民高等弁務官になった緒方貞子さんの名で知られています。
緒方さんは1991年〜2000年までの10年間にクルド難民やバルカン紛争、ルワンダ難民などの保護と救済に活躍。UNHCRは国連の中心的な組織として生まれ変わり、組織や予算規模は2倍となったといいます。活動としては、緊急支援や保護、シェルターとしての役割を果たすだけでなく難民の教育支援や生計・自立支援、保険衛生に関わる支援などを行っています。
2021年「世界難民の日」にUNHCRが掲げるテーマは“インクルージョン“。”誰一人取り残さない“という理念は「持続可能な開発目標(SDGs)」でも重要なキーワードとして掲げられています。難民を含めて誰一人取り残されることなく、すべての人が平等に、保健医療システム、教育、スポーツなど、生活にかかわるあらゆるサービスや機会にアクセスできるように―。
日本におけるUNHCRの公式支援窓口である国連UNHCR協会(東京都港区)では、2019年に「UNHCR WILL2LIVE(ウィルトゥリブ)ムーブメント」を企画。「難民=逆境を生き抜く意志を持ち、困難を乗り越えようとする人」としてとらえ、6月20日には、UNHCR親善大使であるアーティストのMIYAVIさんらが出演するオンラインイベント『100万人のキャンドルナイト with UNHCR WILL2LIVE Music 2021』を開催します。
また、未来の難民アスリートたちを応援する新キャンペーン「RUN FOR Tomorrow」も実施中です。
冒頭の小杉湯をはじめとした銭湯とのコラボも「RUN FOR Tomorrow」の一環です。
全世界が困難な時代だからこそ、 難⺠一人一人の「⽣き抜く意志」の⼒強さを知り、今からでも参加できる様々なキャンペーンやムーブメントに参加してみませんか。
◆「UNHCR WILL2LIVE(ウィルトゥリブ)ムーブメント」HPはこちらhttps://unhcr.will2live.jp/