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2024年9月17日〜19日に開催する、3夜連続オンラインシンポジウムの1日目「ぼくらの時代~核兵器のない世界に向かって」では核兵器廃絶に向けたさまざま視点からの議論が行われ、核兵器の現状や日本国内での取り組み、次の世代に伝えていくための課題が共有されました。
出演者
川崎 哲(ピースボート共同代表/核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員)
田中 美穂(核兵器をなくす日本キャンペーン広島コーディネーター/カクワカ〜核兵器を知りたい広島有権者の会〜共同代表)
林田 光弘(核兵器をなくす日本キャンペーン長崎コーディネーター)
浅野 英男(核兵器をなくす日本キャンペーン事務局スタッフ)
井上 高志(NPO法人PEACE DAY 代表理事/株式会社LIFULL 代表取締役会長)

シンポジウム冒頭でまず改めて驚いたのは、現在地球に存在する、核兵器の数。最も多かった時期には世界で7万発以上も存在していたことが紹介され、現在は約1万2000発まで減少しているものの、それでもなお多くの核兵器が存在しているという現実を目の当たりにしました。その大部分を保有しているのが、ロシアとアメリカ。いまなお国際政治において強い存在感を示す、二大大国は、核兵器によって未だに世界の平和を脅かし続けています。また、核兵器禁止条約は2017年に国連で採択され、多くの国が賛同しているにもかかわらず、日本は安全保障の問題から未だに参加していません。政府と市民の意識改革が求められる状況が改めて指摘されました。
続いて広島と長崎からで活動を続けるメンバーからは、核兵器禁止条約の認知度が依然として低い現状や、被爆者の高齢化による証言活動の減少など、被爆地が抱える課題が浮き彫りになりました。そんな状況だからこそ、長崎ではデジタルアーカイブや平和教育の強化が進められており、被爆の記憶を次世代に引き継ぐための新たな試みが行われています。広島でも市民参加型のイベントが開催され、核兵器の問題をより身近に感じてもらう工夫が続けられています。
特に印象的だったエピソードは、被爆者の谷口さんのお話です。谷口さんは長年にわたり証言活動を続けてきましたが、時には聴衆の反応が薄いこともありました。「いつになったら伝わるんだろう 」とその心情を思わず吐露しながらも、変わらぬ熱意でその命が尽きるまで語り続けました。彼の姿勢は、伝わらない現実に直面しても諦めずに訴え続ける強い意志を示しており、その思いが核兵器廃絶運動の本質であるとも言えます。
このシンポジウムを通じて、核のない世界を目指すためには、一人ひとりが小さな行動を積み重ねることが未来を変える力になると再確認されました。核兵器廃絶の道のりは険しいですが、私たちの意識と行動がその一歩となることを信じて活動を続けていく強い意志を感じたトークセッションでした 。
続くオンラインシンポジウムにもぜひご参加ください!
Day 2: 未来のために分断のない世界へ 私たちにできる「平和」への活動

日本国際ボランティアセンター(JVC)のメンバーが登壇し、社会の分断を超えるために何が必要なのかを語ります。ボランティアの現場で得たリアルな声を聞ける貴重な機会です。
Day 3: 小さな幸せから始まる平和の輪

シリア事業に従事する傍らイラク、ハイチ、モザンビーク事業にも関わり、現在はウガンダおよび南スーダン事業でウガンダ駐在するピースウィンズ・ジャパンのスタッフから話を聞き、実践的な平和へのアクションを考える夜です。