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「未来のために分断のない世界へ 〜私たちにできる「平和」への行動 〜」トークセッションレポート

2024年9月18日に開催されたオンラインシンポジウム「未来のために分断のない世界へ 〜私たちにできる「平和」への行動 〜」では、平和に向けた具体的な行動や、文化的な違いが分断を生む現状について議論されました。世界中で起こっている分断や不平等を解消し、平等で持続可能な社会をどう実現できるか、個人や組織がいかに行動できるか── 。頭を抱えつつも、希望も見えた夜になりました。

出演者の紹介

後藤 美紀(日本国際ボランティアセンター(JVC)海外事業担当)
大村 真理子(日本国際ボランティアセンター(JVC)広報担当)
井上 高志(NPO法人PEACE DAY 代表理事/株式会社LIFULL 代表取締役会長)

後藤さんは、幼少期に読んだマザー・テレサの伝記や、紛争で苦しむ人々の写真がきっかけで国際協力に関心を持ったと話し、現地でのボランティア経験を通じて「問題の根本に向き合うこと」の重要性を学んだと述べました。また、大村さんは、幼少期の多文化環境での育ちを背景に、自分が受けた恩を社会に返すため、広報を通じて支援の輪を広げたいと言います。

そんなお二人の話からは、支援する側とされる側の関係を超えて、現地の人々と共に課題を解決するアプローチが重視されていることがわかりました。スーダンやラオスでの取り組みでは、現地の文化や慣習を尊重し、現地の人々と協力して持続可能な解決策を見つけているのです。とはいえ、その日常では、空爆、避難、徴兵…といった平和からは程遠い現実を聞いているだけでも、心が折れそうになります。

こういった現実に、私たちができることはあるのでしょうか。トークセッションではこういった問いへのひとつの回答のようなものも紹介されました。それは、東南アジアの空港でのこと。日本人女性二人が空港の待合所で隣に座った東南アジアの人々に不快感を示していました。2人分のスペースに3人が座り、結果的に日本人女性を押してしまっていたのです。おそらく、技能実習生として日本に向かおうとしている人々でした。

「すごく嫌だ」「こんな人たちが日本に働きにくるの…」

しかし、その国では狭いスペースであってもみんなでシェアする文化が根付いていると言います。このとき、日本人と東南アジアの人々の間で、お互いに文化に対する知識があれば、不必要な摩擦を避けることができたかもしれない。日常の小さなできごとではありますがこうした文化の行き違いが、時には大きな戦争につながることもあるのではないでしょうか。だとするならば、私たちにもできることがあります。
平和に向けた行動は決して日常から遠いものだけではなく、私たちの日常の中にも確実に存在します。寄付やボランティアといった活動だけでなく、他者の文化を理解し、尊重する姿勢が、平和な社会を築く一歩となる。そんなことを実感した、2日目のオンラインシンポジウムとなりました。